蒼路の旅人

蒼路の旅人 (新潮文庫)

蒼路の旅人 (新潮文庫)

バルサが主人公だと思っていたので助けにこないことに驚いてしまった。けれど世界規模でのお話だし、そんな毎回バルサが誰かを助ける話だったらこんなに好きじゃないな、このシリーズ。
チャグムの弱さも強さも、賢さも浅はかさも若さも、すべてがとてもとても魅力的で、それは良さも悪さも踏まえたうえで描かれているからだろうなと思う。怒りにまかせて発言してしまう若さ、自分の感情だけに振り回される幼さ、それらのすべてはチャグムが持っていて許されるもののはずなのに、彼の身分はそれを許してはくれない。それを窮屈に思いながらも、自由になるために国を捨てられないチャグムは、とても魅力的でいとおしい。彼が笑顔で受け入れられる未来がこの先に待っているように、と願いたくなるひたむきさとまっすぐさ。いつだって全力で立ち向かうからこその魅力がチャグムにはあふれている。続きも約1年後かな?待ちきれないっ。が、文庫化を大人しく待つ。